2012年11月12日月曜日

悪循環

■悪循環


実は、同じテーマの記事を今から丁度10年前に書いたことがある。

だが、10年経つと考え方も少し変わってきているということもあるので、44歳になった今の考え方を残しておきたいと思います。



■モータースポーツは”重さ”との戦い


本当に”クロカン”というものは奥が深い。

通常、”モータースポーツ”と呼ばれるものは、「いかに軽くするか」を競うことが多いのだが、

こと、廃道アタックや牽引なども含めたヘビークロカンとなると、「いかに軽くするか」ということは極端な話、最重要課題ではなくなると思っています。


私の場合、”四輪駆動車での最重要の条件”は、走破性や軽さやボディの小ささではなく、”家まで自走で無事に帰れる耐久性と汎用性の高さとコストパフォーマンスの良さ”だと思っている。

そんなこんなで、前後リーフのランクルというある意味、”温室”に肩までドップリとつかってしまっているので、自分でもどうなんかなぁ~?と疑問に思わないでもないのだが、

まぁ、僕の世代は前後リジットだったオールドランクルや、サファリなどディーゼルの重量級で心おきなくヘビークロカンが出来た、特権的な最後の世代だったということでクロカンを引退するまでこれらと戯れて遊べればいいな、と思っています。


「最重要の条件は重さではない」とは言ったが、クロカンにおいても無用な重量化は走破性の劣化や駆動系や操舵系への負担を大きくしてしまうことなので、良いことではない。

もちろん、クロカンでは付き物の”転倒”時にも、重量がある車の場合は被害が大きくなるので、「重量化」というのは本当に考えねばならない。


・・・ただ、僕は20年近くクロカンしてきて思うのが、「ある意味での見切り」が必要なんじゃないかな?ということです。



■「ある意味での見切り」って?


これは車種や、それぞれの得意分野が違うのでどの車にも一概に合う法則というものはないと思っているのだが、

例えば自分の車のように2t近くもある重量級ディーゼル車の場合、「派手な転倒は間違ってもさせるべきじゃない」と思っています。


以前、僕は自分の車で一回転をやらかしたことがありますが、その時入れていたロールケージは4点式で、センターピラーから後ろのみを保護するような作りになっていました。

ですが、フロントヘビーなランクル短の場合、裏返ると運転席の先端部と、ボンネットが地面と接地するので、センターピラーより後ろのロールバーなど、ものの役に立たなかった。

お陰で、フロントウインドーは思い切り手前に潰れ、もう少しでフロントウインドと頭が当たる処だった。




それ以降、今付けている6点式のロールケージを入れているのだが、これも作りは非常に華奢なもので、また別の機会に裏返ったら(正確に言うと裏返ったが運転席側への横倒しに戻った)

ロールケージが見事に歪み、フロントウインドーやインパネなどを派手に破損させてくれた。

それ以降、横倒しや壁に寄っかかるのでいうと100回以上はやっていると思うのだが、ゆっくりと寄っかかる程度なら問題ないのだが、派手に勢いがついたまま転倒したりすることはない。


ロールケージは各部にジョイントが入っているものなので、設置はラクなのだが強度的にはかなり弱い。

本来ならジョイントを溶接で潰すとか、トラスを入れて強度アップとか、もっと強度のあるワンオフ品を入れてみる・・・などをしてもいいのだろうが、僕は敢えてしなかった。

強度アップしても良かったのだが、重量級での補強はキリがないと思ったし、今のままでも斜面に寄っかかる程度なら被害はほとんどないし、

今は「斜面に寄っかからない腕を獲得することやボディを痛めない方法を採るということ」がメインのクロカンをしているので、派手に車を潰すような使い方は最初からしないようにしているからだ。

「自分の腕で問題なく行ける可能性が高い」⇒「そのまま続行」

「車を派手に潰す可能性がある」⇒「壊さないようにチルやウインチで補助するか、撤退する」

この判断はなるべく早く、行動もなるべく迅速に行いたいと思っている。


だから、僕の車の場合は、一回転しても大丈夫な強度は必要としてないし、またそれらの危険性が高い場所にうかつに近寄らないようにしている。

どこにでも行ける走破性を持たせることがクロカンだと思っている人もおられるだろうが、それらを追求することはキリがないと思っているし、

それらを持たせないからこそ楽しめるクロカンというものもあると思っているので、車をイジるのにも一定のラインで止めておくようにしている。

※これはあくまでも僕自身のこだわりとか考えなので、別に全ての人がこうしなければいけないと思っているわけではありません





■貴方が望む性能がクロカンでベストなものとは限らない


重量級の車で谷底に転げ落ちて平気なほど頑強な車にするには本当にキリがない。

少々、何があっても困らないように本当にしたいのであればこれくらいしなければいけないのだろうが(笑)、


エクスペンダブルズ2の冒頭に登場する完全武装のランドローバー

僕らは「走って楽しむ」ということがメインなハズなので、車を補強し過ぎることで重くさせ過ぎてしまい、転倒限界を下げてしまったりとか、

腕を磨こうと走り込みをしようにもデフやドラシャが走るたびに破損したり、操舵系などを痛めてしまうのでは、走り込みで山にいるより修理工場の方にいる時間が長くなってしまうという本末転倒なことをしてしまうことは意味がない。


これはギア比のダウンやエンジンのパワーアップなどにも言える。

ランクル70でPZJ/HZJになってからはフロントデフが8吋にサイズダウンされたのだが、フロントデフが小さくなってしまっているため、デフのファイナルダウンをしている車はあまり良い話を聞かない。

うちにも、フロント用の4.556と思しきリングギアとピニオンギアが転がっているのだが、交換予定はない。

またエンジンのパワーアップも同様で、クロカンでは下手にエンジンの力がない方が助けられる場合も多いということは知っておいた方がいい。


僕が重量級のクロカン車でクロカンをしていて、良いなと思うのが、「重量級でのクロカンは特に移動速度が遅いため、反射速度や運動神経などに頼る必要がほとんどなく、

洞察力、予測力、地形の読みや想像力などを総称した経験値やタイヤやシートなどから伝わってくる感触を頼りに見えないものを見て走ることは年齢とともに衰えることはほとんどない」ということだ。


例えば、「車をボコらないと走れない」とか、「毎年ドライブシャフトやデフが必ず壊れるので修理」とか、「タイヤの美味しい部分がなくなったら即交換」みたいな走り方って、

お金が非常にかかったり、若いうちしかできなかったり、出来る人も結局限られてくるので、そういうクロカンをやっている人は回転が早い(始める人も多いのだが辞める人も多い)んじゃないか?って思う。


過度に走破性のみに頼ったり、過度にボディの補強をしたり、過度に脚回りの強化をしたり、過度にエンジンのパワーアップをする・・・これらは「悪循環」に陥ることが多いと思う。

もちろん、過度に牽引に頼ることも、車を繊細に扱う楽しみを損なうことがあるので、これも悪循環に陥ることがある。

やっぱり何事も「ほどほど」が一番だと思う。



■余談その1

ちなみに、こんなセコいことを言わず、ガンガン潰して、高い部品を交換してくれた方が日本や世界の経済のことを思えばいいのかもしれない。

セコいことを考えるのは僕みたいな貧乏人だけでいいのかも?(笑)

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